2006年12月7日木曜日

第5の波


IDW'06の招待講演で松下からテレビの将来技術を展望した話があったらしい。

松下は二つの将来像を示した。一つは,より高画質化を進める方向である。コンテンツはHD放送やBlu-rayディスクの画素数を大幅に上回る「スーパーHD」に進化し,ディスプレイは大画面化がさらに進むとともにフレキシブルになるとする。大画面・高精細化を進めて圧倒的な臨場感を実現する。なお,ディスプレイの重量や設置を考慮すると,「ディスプレイはフレキシブルに向かう」と言う。
Tech 0nより

ついに有機フレキシブルエレクトロニクスの出番か!? と思い、第5の波がいつ頃だと予想しているのか見てみると・・・・・・・2020年。

よし、まだ10年は研究するネタが尽きないぞ!

MN

2006年12月3日日曜日

早くなんとかしないと。。。。

・幼稚園以前の育児への公費支出が西欧諸国の数分の一
・国内総生産に対する公財政支出学校教育費が主要国中最低
・高等教育への公財政支出の対国内総生産比がOECD加盟国中最低レベル
・高等教育費の私費負担率がOECD加盟国中最高レベル
・国立大学の学費が世界最高レベル(多くの国ではタダ)

これどこの国のことだかわかりますか?
もちろん、我が国日本のことです。

国家や国旗を強要したり、教育委員会を弄くったりとかのカネのかからない小手先のことをやっているヒマがあるのなら、こちらを何とかしないといけないと思います。
家計の育児負担が少子化の大きな原因にもなっていることを認識すべきです。
お役人からは「支出削減のため教育への公費支出も一律カット」という発想しか出てきません。こういうのは政治が大鉈を振るわなければならないのですが、私立学校出身のボンボン二世議員が幅をきかせている今の与党には、何とかしようとう気配がまったくありません。

早くなんとかしないと、日本の将来を担う次世代が質・量ともに不足していって、この国の衰退は止められなくなってしまいます。

MN

2006年11月17日金曜日

今年の国際会議 International Conferences in This Year

いよいよ、今年度も残りわずかになってきました。最新情報にアップデートします。
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今年開催される当研究室に関係の深い国際会議をリストアップします。
時々情報が更新されますので、ご注意下さい。
PD、ドクター学生だけでなく、マスターの人も是非発表を申し込んで参加しましょう!
もちろん発表する人には旅費の補助が出ます。

4th International Symposium on Organic Molecular Electronics (ISOME2006)
2006/5/18-19 埼玉大 Japan<<終了>>
アブストラクト締切:3/1 <<終了>>
プロシーディング締切:5/19 (IEICE Trans. Electro.)<<終了>>

The International Conference on Science and Technology of Synthetic Metals (ICSM) 2006
2006/7/2-7 Dublin, Ireland <<終了>>
アブストラクト締切:3/27 <<終了>>
レジストレーション締切:4/7<<終了>>

6th International Conference on Electroluminescence of Molecular Materials and Related Phenomena (ICEL-6)
2006/8/7-10 Hong Kong <<終了>>
アブストラクト締切:4/1<<終了>>
レジストレーション締切:6/15 <<終了>>

2006 International Conference on Solid State Devices and Materials (SSDM 2006)
2006/9/12-15 横浜, Japan
アブストラクト締切:5/15<<終了>>
レートニュース締切:7/31 <<終了>>
レジストレーション締切:8/12 <<終了>>

Korea-Japan Joint Forum 2006 -Organic Materials for Electronics and Photonics-
アブストラクト締切:7/31 <<終了>>
エクステンデッドアブストラクト締切:8/20 <<終了>>
レジストレーション締切:8/20 <<終了>>
プロシーディング締切:10/5 (Molecular Crystal and Liquid Crystals)<<終了>>

The 7th International Conference on Nano-Molecular Electronics (ICNME 2006)
2006/12/13-15 神戸 Japan
アブストラクト締切:9/30<<終了>>
レジストレーション締切:9/30<<終了>>
プロシーディング締切:12/15 (Thin Solid Films)

The 4th International Conference on Molecular Electronics and Bioelectronics (M&BE4) 
2007/3/15-17
アブストラクト締切:1/15
レジストレーション締切:1/15
プロシーディング締切:3/16 (Jpn. J. Appl. Phys.)

2006年10月14日土曜日

フォーブス2000

フォーブス2000って知っていますか?
正式には、Forbesという世界的に有名なアメリカの経済誌(世界の長者番付なども有名ですね)が毎年発表しているThe World's 2000 Largest Public Companiesというものです。単純に売り上げや資産だけで並べているのではなく、世界経済への影響力を反映するようにしているそうですが、も集計法をちゃんと理解していません。(汗)
手元に1000位以内に入っている日本企業のリストがあるのですが、イッパイ日本企業が入っていて長いので、世界ランク400位以内だけ並べてみます。

12 Toyota Motor 輸送用機器
*32 Nippon Tel & Tel 情報・通信
44 Mizuho Financial 銀行業
62 Mitsubishi UFJ Finl 銀行業
63 Honda Motor 輸送用機器
65 Nissan Motor 輸送用機器
*98 Tokyo Electric Power 電気・ガス業
*107 Sony 電気機器
*140 Canon 電気機器
172 Resona Holdings 銀行業
173 Nippon Steel 鉄鋼
188 Mitsui & Co 卸売業
194 East Japan Railway 陸運業
*201 Matsushita Electric Indl 電気機器
207 Millea Holdings 保険業
214 JFE Holdings 鉄鋼
222 Denso 輸送用機器
226 Nomura Holdings 証券業
227 Seven & I Holdings 小売業
*229 KDDI 情報・通信
*236 Hitachi 電気機器
*251 Chubu Electric Power 電気・ガス業
252 Takeda Pharmaceutical 医薬品
*253 Kansai Electric Power 電気・ガス業
270 Sumitomo 卸売業
276 Mitsui Sumitomo Ins 保険業
278 Central Japan Railway 陸運業
290 Bridgestone ゴム製品
292 Nippon Oil 石油・石炭製品
312 Japan Tobacco 食料品
313 Fuji Photo Film 化学
*315 Mitsubishi Electric 電気機器
321 Aeon 卸売業
*326 Toshiba 電気機器
*328 Sharp 電気機器
334 Itochu 卸売業
*335 NEC 電気機器
346 Orix その他金融業
356 T & D Holdings 保険業
368 Sompo Japan Insurance 保険業
374 Sumitomo Metal Inds 鉄鋼
*380 Kyushu Electric Power 電気・ガス業
*395 Ricoh 電気機器
*396 Fujitsu 電気機器

このランキングは金融・証券などが上位になりやすいそうです。それでも製造業が約半数を占めている(44社中23社)ということは、やっぱり日本は技術立国だと実感しますね。
*印はなにかというと....そうです、電気電子系が中心となって活躍している会社です。ヨカッタ、いっぱいありますね。(^^)
もちろん、輸送機械や金融・証券など他業種の会社でも電気電子系出身の人は働いています。
最近受験生に電気電子が人気ないそうですが、こういう実態を知っているんでしょうか?

MN

2006年9月27日水曜日

ムラタ君が進化!

われらがアイドルムラタセイサク君がいつのまにか成長していたようです。
S時平均台や坂道も行けるようになったそうな。
CEATECで勇姿を見れるそうなので、皆さんもぜひ応援に行きましょう!

あ、もちろん、CEATECは自分の勉強のためにもぜひ行ってくださいね。

MN

2006年9月16日土曜日

薄膜材料デバイス研究会

2年前からMNもお手伝いしている薄膜材料デバイス研究会の第3回研究集会が、11月10日、11日に奈良で開催されます。
発表の締切は9/15と迫ってきていますので、指導教員と相談してどんどん申し込んでください。学生発表は、基本的にポスターになると思います。

発表締め切りが公式に22日(金)まで延長されました!当研究室のメンバーだけでなく、ここを覗きに来られたご同業の皆様も、ぜひご投稿下さい。

詳しくはこちらをご覧下さい。

当研究室の学生の皆さんは有機トランジスタしか触ったことがないはずです。無機の薄膜トランジスタでどのようなことが研究されているかを知ることはたいへん有益だと思います。
さらに今回は 菊池誠 大先生というスゴイ招待講演者がいます。
といっても、最近の学生なら知らない人も多いかもしれません。
略歴を拝見すると....
1925年、東京に生まれる。1948年東京大学理学部物理学科卒業。同年通産省電気試験所(現在の産業技術総合研究所)入所。以後、一貫してトランジスタ、半導体等エレクトロニクスの基礎研究を続け、半導体研究室長、菊池特別研究室長などを歴任。1960年から1961年まで、米国マサチューセッツ工科大学エレクトロニクス研究所に客員研究員として滞在。1974年ソニー株式会社中央研究所長、常務取締役、19891993年まで同社技術顧問を歴任。1990年東海大学工学部教授、2000年より現職。1982年米国IEEE『Fellow』に、1987年には米国ナショナル・アカデミー・オブ・エンジニアリングの外国会員に就任。1994年神奈川文化賞受賞。
『トランジスタ』(六月社)(1959年毎日出版文化賞)、『情報人間の時代』(実業の日本社)(1970年日本エッセイストクラブ賞),『幸運な失敗』(日本放送出版協会)(1972年サンケイ児童出版文化賞)、『三つ子の魂が目を覚ます』(NTT出版)など著書多数。

MNが院生のときに、特別講義を拝聴したことがあります。その時点で、すでに後光が差していました。今回、この研究会の発起人である鮫島先生との個人的な関係で、ご講演を引き受けていただけたそうです。

また、ディナー付きで学生事前申し込み(10/13までに入金)だと参加費4,000円という値段も魅力です。発表しない人も、勉強のために是非参加してください。

MN

2006年9月12日火曜日

PhilipsのLET!


またまたYouTubeですが、まずはこれをご覧下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=Yd99gyE4jCk

Philipsが発表した'Light Emitting Textiles'です。
こちらにやや詳しい発表記事があります。
http://www.research.philips.com/newscenter/archive/2006/060904-decosit.html
http://www.research.philips.com/newscenter/archive/2006/060901-lumalive.html
詳細は不明ですが、無機LEDのアレイを組み込んだもののようです。
いよいよ、フレキシブルエレクトロニクスの世界が現実として見え始めたというところでしょうか。
MNも常々言っている、「エレクトロニクスの衣食住への侵攻」が始まるのです!
でも、やっぱ有機でやりたいですよね。(ほら、クラーク数の話、憶えていますか?)

MN

2006年8月25日金曜日

2006秋の応物講演予定

秋の応物の当研究室関連の発表予定が集まりましたのでお知らせします。

○大橋昇、富井弘、中村雅一、酒井正俊、工藤一浩:
”デバイスシミュレーションによるTFT内結晶粒界電位降下の解析” ,第67回応用物理学会学術講演会(草津)、(2006.08.30) 30a-ZH-4

○Mingsheng Xu, Masakazu Nakamura, Shinji Aramaki, Hiroshi Tomii, and Kazuhiro Kudo:
“Local potential distribution of bottom-contact tetrabenzoporphyrin thin-film transistors”,第67回応用物理学会学術講演会(草津)、(2006.08.30) 30a-ZH-7

○松原亮介、中村雅一、工藤一浩:
“四探針FET測定によるペンタセン電界効果移動度の温度依存性評価”,第67回応用物理学会学術講演会(草津)、(2006.08.30) 30p-ZH-11

○澤部智明、岡村康史、宮本隆志、中村雅一、工藤一浩:
"有機多結晶薄膜における膜厚方向への電気伝導:Au/ペンタセン構造に対するAu蒸着の影響",第67回応用物理学会学術講演会(草津)、(2006.08.30) 30a-N-11

○酒井正俊、佐久間広貴、遠藤剛、中村雅一、工藤一浩:
"(BEDT-TTF)(TCNQ)結晶を用いたambipolar FETにおけるキャリア伝導機構",第67回応用物理学会学術講演会(草津)、(2006.8.31) 31a-ZH-6

○焦 陽,山内 博, 飯塚 正明,酒井 正俊,中村 雅一,工藤 一浩:
"ZnO薄膜を用いた有機発光トランジスタの作製II",第67回応用物理学会学術講演会(草津).(2006.09.01) 1a-ZH-9

2006年8月10日木曜日

ICEL-6

現在、MNはICEL-6のため香港に滞在中です。
当研究室関連では、教員2名、研究員2名、D学生1名が参加して、オーラル2件、ポスター3件の発表でした。発表はすべて無事終わり、一安心です。

ICELには何度か参加していますが、今回地理的なこともあり、中国からの参加者が非常に多かったのが印象的です。やはり地理的な要因でしょうけど、反対にヨーロッパとアメリカからの参加者が非常に少ないのは寂しかったですね。
そのため、オーラル講演でも日本対中国って感じになっていました。

気になるのは、印象として中国(含む台湾)に日本が押されていたのではないかということです。
最近の中国は有機エレクトロニクスの応用研究にもかなり力を入れていて、しかもアメリカやヨーロッパでのポスドク経験者も多く、研究への目の付け所や、発表のうまさで明らかに押されています。もちろん分母の人口が10倍ある国ですから、平均レベルはともかく、両国から上位10名とか固定して選んだらかなりやばいかもしれません。
英語が聞くに堪えないのも日本人が多かったですね....(^^;)
初日の夜に、中国語でのパネルディスカッションをやったそうですが、以前から言われている冗談・・・「そのうち国際会議の公用語は中国語になるのではないか?」・・・ってのが冗談ではすまされなくなってきているかもしれませんね。

MN

2006年7月26日水曜日

ご苦労さま?

これ、特に会社では明確なルールなんですけど、研究室の学生では誤用しているのを聞いたことありますね。

仕事後、目上の人に「ご苦労さまでした」と言葉を掛ける人の割合が15%に達し、主流を占める「お疲れさまでした」を侵食していることが26日、文化庁の「国語に関する世論調査」で分かった。(時事通信記事より抜粋)

「ご苦労さま」は目上の人には使わないんです。
15%もいるってビックリです。
院生の皆さんも、就職活動の前に日本語(特に敬語)を再確認してください。
こんな記事こんなサイトなど、ネット上でも結構解説されていますから。

2006年6月29日木曜日

これで千葉大も有名になるか!?

下北サンデーズっていうドラマが7月から始まるそうですが、なんとそのロケに極一部ですが千葉大が使われています。
上戸彩ちゃんが、千葉大の理学部の学生なんだそうです
すでに今月に入って土曜日にロケをやっていたので知っている人もいるかもしれませんが、工学部でも撮影したそうです。

土曜日に実験に来て液体窒素を汲みに行くと、もしかしてエキストラ頼まれるかも?

MN

以下は、千葉大メールマガジンからの転載:
◆西千葉キャンパスでテレビドラマの収録を行っています。

タイトルは「下北サンデーズ」。テレビ朝日系列で全国放送されま
す。
主演・上戸彩,演出・堤幸彦,原作・石田衣良,主題歌・藤井フミ
ヤのコラボレーションによる青春グラフィティで,演劇の町・下北
沢を舞台に,若者達の夢と美しくも貧しい劇団生活を描いた作品で
す。

主演の上戸彩さんは,演劇をしつつも学業を怠らず,何事にも真面
目に取り組む大学生(里中ゆいか)を演じ,千葉大学理学部化学科
(実名で登場)の新入生役として出演します。
本学では,千葉大学を知っていただくよい機会となることを期待し
て,撮影に全面的に協力しています。

先日行われた収録では,西千葉駅付近・正門・南門・けやき会館・
総合校舎・工学部等で撮影が行われました。7月13日(木)夜9時か
らの第1話及び翌週の第2話で放送される予定です。ぜひご覧くださ
い。

番組についての詳細は,テレビ朝日のホームページを参照してくだ
さい。

2006年6月19日月曜日

試読用図書が届きました

試読用の図書として3冊の高価な図書が届きました。
(1)進化する有機半導体(\45150)
(2)ナノ・IT時代の分子機能材料と素子開発(\54600)
(3)自己組織化によるなのマテリアルの創成と応用(\49350)
私の部屋に置いてありますので、興味のある学生さんはぜひ見てみてください。個人ではなかなか手の届かない図書なので、こういう機会に、このような書籍が存在することと、どんな内容が書いてあるのか知っておいても損はないでしょう。(ちなみに本研究室の学生さんにおなじみの[不倒自転車]さんは、こういった書籍をたくさん購入されていました)。現状で有機半導体や分子サイエンスに関わるまとまった教科書ってなかなかないですから、自分に関連ありそうな章を一読してみるだけでもためになると思いますよ。自分の研究課題の意義とか、関連する他研究機関の研究動向なんかを把握しておけば、就職活動の自己アピールにもプラスになるかも。

MS07

2006年6月16日金曜日

試読図書その2

研究室の学生さんに再び試読図書の案内です。
今回は、
(1)"電池革命が拓く次世代電源:\42200"と
(2)"ナノマテリアルハンドブック:\64890"の2冊です。
研究室の研究に関連のある記事としては、(1)には有機・バイオ材料を用いた電池や有機太陽電池に関する記述があり、もちろん、その他の各種電池についても書かれています。また、(2)については、分子エレクトロニクスを標榜する研究室としては必須でしょう。最近の新しい話題や、応物学会では聞けない話題もたくさんあるので、世界を広げる意味でも一読の価値ありです。設置場所は前回と同じで、自由に読んでもらって構いませんが、絶対に汚したり、傷めたりすることのないように十分注意してください。期限は7月3日とします。

MS07

2006年5月31日水曜日

百聞は一見に如かず


YouTubeでこんな映像を発見しました。(学生の皆さん。こんな用途にも使いましょう!)
鉄板の振動の節に米粒が集まってきれいなパターンをつくっています。
楽しいですね。
なんか 米村でんじろう先生がテレビで実演していそうですね。(^^

やっぱり、目で見えるってのが人間にとっては一番解った気になります。静電界より静磁界のほうがなじみがあるのも、砂鉄の実験(最近は小学校でやらないところもあるそうですが)のおかげで、磁力線のようなものが見えるからでしょう。
ワタシがプローブ顕微鏡を気に入っているのも、目で見えない現象を「見える」ようにできるからです。
等電位線ながめるの面白いでしょう?

2006年5月19日金曜日

New露光機到着!!


おまちかねの露光機が納入されました。
構造が直感的に分かりやすいので、使いやすいんじゃないかなと期待しています。まずは、実際にどのぐらいのパターンが切れるのか試してみたいところですね。
これまでのリソと根本的に違うのは、マスクアライナが付いている点です。複数回リソによる複雑なパターンが形成できます。単に装置が新しくなったということではなく、素子設計の自由度が格段に増したという点が重要です。これまでは新しいパターンを試したくても、リソマスクを作製するには金がかかるので躊躇せざるを得ませんでしたが、これまであきらめざるを得なかったアイデアの何割かは、この装置を使えば実行可能です。もちろんフィルムマスクもこれまでどおり使えます。基板吹き上げ機構の構成やスピナー等、本格的に活用するにはもうちょっと整備しないといけないところもありますが、リソ装置としては既に実戦配備済みです。
(不倒自転車さん、間に合わなくてごめんなさい)

MS07

2006年5月18日木曜日

有機トランジスタのセミナー

技術情報協会というところがやっているセミナーで、6月23日(金)に「有機薄膜トランジスタの必須基礎知識と課題」という講座をやることになりました。
参加費47,250円と結構いいお値段ですが、どうやら講師紹介割引というのがあって、それで申し込むと15,750円割引になるそうです。
これをご覧になられた方で、割り引き申込書を希望される方は中村までお問い合わせ下さい。

2006年4月17日月曜日

ロシアからOLED


インプレスの記事によるとロシアのArt.Lebedev Studioという「デザイン会社」(!)がOLED(有機EL)を使った面白い製品をリリースしたそうな。この会社、日本でいえばGKグループみたいなところでしょうか?(このあたり工業意匠系の人に聞いてみたいです。)
プログラマブルなキーが3つしかないUSB補助キーボード(?)ですが、そのキートップに96×96 pixelsのOLEDディスプレイが付いて....って、技術的なことをウンヌンするより、まあ写真を拡大して見てください。必要なくても欲しくなります。
こういうのは、やっぱりエンジニアだけでなくデザイナーの思想が強くないと生まれないのかな、というのが感想です。
先端テクノロジーとインダストリアルデザインのコラボレートって、今後の日本が目指すべき一つの道だと思うのですが....日本の工業デザイナーも頑張れ!

2006年4月14日金曜日

ガンバレ日本!


経済産業省の我が国の工業さらなる発展をめざす製造業ってところを眺めてみました。
前々から思ってはいたんですがちゃんとした統計を見るのは初めてです。
ちょっと図を拝借して貼り付けますが、工業立国日本の製造業における出荷額トップは「電気機械」と「輸送機械」です。つまり、ながらく電気製品と自動車が日本の産業を引っ張っているんですね。
電気機械は最近ちょっと調子が悪いですが、また盛り返すと期待してます。
しかも、さらに電気機械の内訳を見るとダントツなのは「電子部品・デバイス」です!
この研究室にいる学生の皆さんも、日本の最も得意とする分野をこれからさらに発展させてください!

それにしても、最近工学部が受験生に人気が無くなってきていて、電気電子系が特に落ちてきているらしいのは困ったもんです。このままでは、日本を支える一番太い柱の一つがヨレヨレになってきてしまいます。
一般の人たちが事実を知らなさすぎるんでしょうか....

2006年4月10日月曜日

○○でも...


ばかでも世界と戦える!

ちょっと過激ですが、今年の卒研説明会で四年生に伝えた言葉です。
世界トップクラスの頭脳と比べたら、間違いなく我々スタッフを含めてこの研究室にいる人たち全員、アタマの回転や知識だけでは勝負になりません。

じゃあどうする...というのは、この研究室で3年くらいかけて学んでいってほしいのですが、簡単に言えることだけいくつか並べておきます。

・自分がばかであることを自覚すること!
・一流とはどんなものかを知ること!
・ばかなりの戦い方を知ること!
(ここを習得するのが重要かつ困難なのですが、例えば、学部レベルの専門知識は最低限押さえる、より知っている人がいるなら聞く、得意分野を持ち寄って共同で戦うなどは簡単に言えますね)
・常に何をすべきか考えること!
・常に努力を怠らないこと!
・明るく前向きであること!

みんなで肝に銘じておきましょう。

2006年4月4日火曜日

春の応物で

ふと気になったので、今回の春の応用物理学会の10.9有機トランジスター(これって、伸ばさないでほしかったです。^^)のセッションでの機関別発表件数をざっとまとめてみました。大学は、部局別に分けてあります。

産総研 7
千葉大 工 6
九工大 生命体 5
東大 工 5
東工大 理工 5
阪大 工 4
阪大 基礎工 4
信州大 繊維 4
九大 総理工 4
東工大 総理工 3
NHK技研 3
電中研 3
京大 工 2
東北大 通研 2
東工大 像情報 2
愛知工大 2
千歳科学技術大 物質光科学 2
豊田中研
NEC基礎・環境研
光技術産業協会
セイコーエプソン
東京理科大 工
横浜市立
富山大 工
日立 機械研
理研
東大 先端研
北陸先端大 材料
村田製作所
北大 地球環境
関東化学
東北大 工
東北大 金研
京都工繊大 繊維
東京海洋大 工
東大 新領域

これを見て皆さんが何を思うかはわかりませんが、ワタシの感想は「企業が少ない!」です。
有機トランジスタを研究している企業が沢山あるのは知っていますが、やはり発表して(させて?)くれないみたいですね。実際会場でも一生懸命メモしている方々が最大200人くらいいたはずですが、特許さえ出願したら、是非学会でも発表してほしいところです。学会発表というのは、志望する学生へのPR効果もあるんですから。

ところで、このセッションで千葉大こんなにありましたっけ?

MN

2006年3月24日金曜日

”Tech-On!"に紹介記事


当研究室の研究成果である「高次構造」縦型トランジスタについて、日経BP社のウェブサイト”Tech-On!"に紹介記事が掲載されました。
思ったより詳しく、しかもかなり正確な記述がなされています。
ぜひご覧下さい。

2006年3月18日土曜日

研究職を選ぶ理由

インテリジェンスという会社の転職支援サイトでこんな年収ランキングを見つけました。決して、私もぐらが転職先を探していたのではありませんよ。(w
研究室の一部の人には話しましたが、「電気・電子・半導体」業界の職種別平均年収は、院卒がほとんど含まれていないと思われる25歳を除くと、30、35、40歳いずれを見ても「研究開発」がトップです。ちなみに、最近うちの学科の学生でも選ぶ人が多いSEやプログラマ(別のページにあります)と比べても高いですね。なんと、金融系の5位くらいの職種よりも高いです。
他にどんな職種が比較されているかはリンク先を見てください。
これだけを見て、なにも考えずに「それなら研究開発部門を希望しよう!」と思う単細胞君は研究に向きません。ぜひ別の職種を選ぶことをお勧めします。(w

まず、この手の統計は、母集団のかたよりを考えなければなりません。
いろいろ考慮すべきことがありますが、私のこれまでの見聞から推測するに、一番考慮すべきは研究開発職に就いている大卒技術系の人数が企業規模が大きくなるほど飛躍的に多くなる点です。おそらく、ここに挙がっている「回路設計」の集団よりも、「研究開発」の集団のほうが大企業に勤めている人の率が高いものと推測されます。(こんな推測で論理を展開するのも研究者としては不本意ですが、ここでは一般論として考えられることとを述べているつもりです。)少なくともメーカーの範疇では、大企業のほうが中小規模の会社より一般社員の年収は良いですから。

まあそういう点を考慮しても、理系として社会に出るに当たって、研究開発職はそれなりに選ばれたものが就く職種と考えて良いでしょう。志望する価値は十分あると思いますよ。
研究室の学生の皆さんには、なかでも「研究職」に一人でも多く就いてもらいたいと思っています。
工学部を出て企業で研究をやるのですから、サイエンスを目指すことはないと思いますが、それでもエンジニアリングをやるかテクノロジーをやるかは大違いです。エンジニアリングというのは、すでによく知られている法則や方法を組み合わせて、現実の問題を解決することです。開発の仕事は、その色合いが強くなります。それに対して、テクノロジーとは、これまでに使われていなかった現象や材料などを使ってまったく新しい、あるいは、従来とは桁違いの性能を持ったものを創り出すことです。ここで言っている研究職とは、そのようなテクノロジーを創造することを目標とする人のことです。日本語にすると、どちらも技術と訳されてしまうことがあるので、違いが曖昧になってしまうのですが。
自分が良いと考えた研究テーマを精一杯やってテクノロジーの進歩に貢献できたら、何物にも代え難い感動が得られます。しかも、それができる人は、どこの会社(あるいは大学)に行っても研究者として通用します。社名の入った名詞を手に、「○○社の誰それ」と名のったときに、相手が○○社に価値を持ってくれるのか、あるいは、誰それさん個人に敬意を払ってくれるのかの違いです。

MN

2006年3月9日木曜日

コッホ先生来訪


ドイツのフンボルト大から、Norbert Koch先生が来訪されました。
彼は、有機半導体の界面電子現象のプロフェッショナルで、このコミュニティの若手のなかでも世界でトップクラスの研究者です。彼の講演とその後の我々の結果も含めたディスカッションは良い刺激になったと思います。何より、世界トップクラスの研究者とディスカッションすると、彼らの見識が広い上に深いことに感銘を受けます。良い研究、良い論文のためには、総説や教科書を書けるだけの見識が必要であることが実感されますね。
なにより、中村がプリンストン大のKahn先生の研究室に滞在していたときにいろいろと面倒を見ていただいたので、やっとその恩返しもできました。

MN

2006年3月7日火曜日

応用物理3月号

応用物理(学会誌)の3月号に「有機導体ワイヤ作製技術と有機ナノデバイスへの応用」というタイトルで、当研究室の研究の記事が掲載されました。古くから続くこの研究についてまとまった話を聞く機会は少ないと思いますので、ぜひじっくり読んでみてください(まとまった話とは言うものの、この記事の内容だって研究成果のごく一部です)。また、それだけでなく、当該号の特集は「低次元ナノ構造」で、うちの研究室のテーマに近い研究の報告がたくさん載っています。きっと興味深く読めると思いますので、応物学会員でない学生さんも、先輩に学会誌を借りて読んでみましょう。特に「ナノワイヤの利点といえば→とにかく細い」とか、「微細加工といえば→リソ」程度の理解で満足している学生さんは必ず読みましょう。

MS07

半導体物語(その4)

吾輩は有機半導体である。教科書はまだない。
だれが使い出したか頓と見當がつかぬ。(訳者注:トランジスタとしては工藤先生が先駆者です。)何でも暗薄いじめじめした研究室で合成された事だけは記憶して居る。吾輩はこゝで始めて人間といふものを見た。然もあとで聞くとそれは大学院生といふ人間で一番獰惡な種族であつたさうだ。此院生といふのは時々我々に電流を流しすぎて焦がすといふ話である。然しその當時は何といふ考もなかつたから別段恐しいとも思はなかつた。但彼のスパチュラでスーと持ち上げられた時何だかフハフハした感じが有つた許りである。
有機導体や半導体材料は我が国の甚だ得意とするところでもある。導電性ポリマー薄膜の合成で白川先生にノーベル賞が授与されたのはまだ記憶に新しい。吾輩の仲間の実用化研究でも、まあ世界の先頭を行つていると思つてよい。
抑も世の中の物質といふものは、金属でなければ心の持ちやうでなんでも半導体である。然らば吾輩の仲間がいかに電流を通し難からうが、半導体だと思ふ者あらば半導体と言つて差し支えなからう。
何しろ、有機分子そのものは閉殻構造である。分子の単位で電子のエネルギー準位が粗方決まつている。然るに、アモルファスであらうが結晶であらうが、或いは多少の不純物が入つていようが、無機の半導体のようにダングリングボンドに悩まされるでもなく、半導体としてキャリアを流すことを得るのが自慢である。
其のやうな性質のお陰で、簡単な設備でもデバイスと言ふものを成し得る。なんでも金で計るのは当世の悪しき習慣であるが、無機半導体で仮にもデバイスを作るのであれば億の単位の設備が必須である。然るに吾輩であれば、ひとまず幾千万円かの出費でどうにか格好が付くといふものである。これは決して貧乏研究室(訳者注:うちの研究室には総額何億かの設備がありますよ。)に優しいと言ふだけではない。低コストで大面積素子を作つて兎も角彼方此方で使おうといふフレキシブルエレクトロニクスなるものには欠かせない性状であると言へよう。
世の中に有機物質は五万とある。当然半導体として使えさうなものも数限りない。それらを組み合わせて、色々な工夫のし甲斐があるのが嬉しいところである。しかも、クラーク数は兎も角、生物圏にありふれた元素を使うので資源的な心配も少なく、燃やせばほとんど二酸化炭素や水になる。
又、植物の光合成が非常に効率の良いことからもわかるやうに、有機色素間の電荷移動を使った光電変換は分子スケールでは極めて効率が高い。これをうまく使えば高感度でしかも特定の色に感度良く反応するセンサーにもなる。太陽電池とやらも作られているさうである。数限りない仲間の中には光るのが得意な輩も沢山ある。
難点と言へば酸素を吸ってアクセプターや電子トラップが出来易いことか。御陰でn型の半導体としては一筋縄ではいかないのは難しい。
いまだ海の物とも山の物とも分からないと言われれば否とは言へぬが、世の中のために役に立つ日が来るのを夢見て研鑽に励んでいる。

MN
漱石先生へのトリビュートとしてみました

2006年3月3日金曜日

春の応物講演予定

春の応物の当研究室関連の発表予定が集まりましたのでお知らせします。
酒井先生のコラム「学会へ行こう!」を読めば、まさか自分の発表のときしか参加しないという不届きな人は出てこないと信じていますよ。

岡村康史,中村雅一,工藤一浩:
"極薄SiO2膜を用いることによる有機半導体へのトンネルキャリア注入", 22p-S-12

廣井貴明,藤本潔,大橋昇,○中村雅一,工藤一浩:
"コロイダルリソグラフィーを用いた有機SITの作製(II)", 23a-ZG-1

○福田雅治,山内博,飯塚正明,酒井正俊,中村雅一,工藤一浩:
"電子線露光を用いた微細ゲート電極構造を有する有機SITの作製", 23a-ZG-2

中川善嗣,○中村雅一,保坂純男,村下達,西川治:
"主要なSPMファミリーの現状と将来", 23p-ZK-4

○冨井弘, 中村雅一, 酒井正俊, 工藤一浩:
"Au電極蒸着に起因するTFT特性劣化のAFMポテンショメトリによる評価", 25p-N-6

○宮田晴哉,伊丹恒平,酒井正俊,飯塚正明,中村雅一,工藤一浩:
"自己配線構造を有する有機ナノFETの特性制御と成長位置制御", 26a-ZG-1

竹内文雄、長尾高成、○酒井正俊、中村雅一、工藤一浩:
"有機SIT構造のショットキー界面における空乏層幅制御", 26a-ZG-9

○澤部智明,岡村康史,中村雅一,工藤一浩:
"Auガス中蒸着によるペンタセン膜へのダメージ低減法の検討", 26p-ZG-5

2006年3月1日水曜日

半導体物語(その3)

わたしはアモルファス半導体です。
アモルファスって何か知ってますぅ?
語源はギリシャ語のa-morpheで、「はっきりした形を持たないもの」という意味です。優柔不断ってわけじゃないですよぉ。結晶のような長距離秩序がない固体がアモルファスって呼ばれているんです。熱力学的には非平衡な状態なのですが、化学気層成長(CVD)法などの薄膜成長ではそもそも非平衡で膜が作られるので、ごく普通にできちゃいます。
半導体としての歴史は、1968年に多元系カルコゲナイド薄膜のスイッチング特性などが報告されて以来の長い歴史があるんですよ。
その後、1975年に水素化によってアモルファスシリコンのpn制御ができることがわかってからスポットライトを浴びる材料になりました。80年代にはアモルファスシリコンを使ったデバイスが盛んに研究されて、太陽電池やTFTとして皆さんに使ってもらえるようになったんですぅ。*^_^*
でも、TFTでは最近ポリシリコン君に押されているのでちょっと肩身が狭いです。(T_T)
あ、それと、プラスチック基板上でも作れるので、曲げることができる「フレキシブルトランジスタ」や「フレキシブル太陽電池」はわたしが元祖です。これも、最近有機半導体たちに押されているかも。(^^;)
でもね、最近、酸化物アモルファス半導体という仲間が巻き返しをもくろんでいます。
アモルファスシリコンだと、シリコン同士のσ結合による準位が構造ひずみによってとっちらかってしまうので、ギャップ内準位の多いバンド構造になってしまいます。そのせいで、キャリアは捕まっては動くというのを繰り返すホッピング伝導でのろのろしか進めません。
でもね、一部の酸化物アモルファス半導体(例えば、InGaZnOなどが売り出し中♪)では、重金属原子の大きなs軌道同士が酸素をまたいでお隣の金属s軌道と重なることができて、そこそこのバンドをつくれるんですよ。そのせいで、電子だけですが(酸素が電気陰性度高くって電子を持って行くので、重金属原子の軌道は伝導帯になります)移動度がアモルファスとは思えないほど高くなります。結晶半導体のみなさまにはかないませんけど...
こんなおくゆかしいわたしですが、今後ともよろしく♪

MN どこまで続くか....

2006年2月28日火曜日

半導体物語(その2)

僕たちは化合物半導体です。
GaAsなどのIII-V族、ZnSeなどのII-VI族ほかいくつかの種族が仲間です。最近、GaNなどの窒化物半導体も仲間に加わりました。さまざまな仲間がそれぞれの得意技を発揮して活躍しています。ジャニーズのようなものかな?(笑)
かつては主役を期待された時期もありましたが、シリコン君の主役の座は揺るぎそうにないので、彼の苦手な分野で名バイプレイヤーとしての確固たる地位を築いています。僕らがいなければ光通信も携帯電話も成り立たないし、色とりどりに光るLEDも無かっただろうね。
複数の元素でせん亜鉛鉱型の結晶や六方晶を作ります。電気陰性度が違う組み合わせほどイオン結晶性が強くなり、もろくなる上に欠陥の無い結晶を作るのが難しくなります。結晶はすぐに割れてしまうので、やさしく扱ってね♪
なにしろ仲間が多いので、様々なバンドギャップをもったものを結晶の格子常数をそろえて作れるのが強みです。仲間同士を積み上げたヘテロ接合を使ってキャリアの障壁などをつくる「バンドエンジニアリング」は僕らの得意技。これがなければ、半導体レーザーは作れません。また、波動関数が干渉を起こせるコヒーレント長以下のサイズでポテンシャル井戸構造を作ると量子効果が現れ、一つの材料では得られないような性質を発揮させることができます。超格子とか量子ドットと呼ばれています。かっこいい名前でしょ?1970年代から80年代には半導体物性研究の花形だったんですよ♪
レーザーと言えば、光を出すのが僕たちの使命と言ってもいいかもしれませんね。
みなさんも、赤や青に光るLEDが身の回りにあるのは気づいているでしょう? LEDは、みんな僕たちの仲間です。1990年代にGaN君が青く光るようになったので、今では三原色そろってます。赤外や紫外も光らせることができますね。どんな元素を混ぜるかでバンド分散が変わるので、誰もが光るとは限りませんが、輻射再結合が許される仲間は多いのです。
もう一つの自慢はキャリア移動度かな。
僕らの仲間は、シリコン君より足が速いものが多く、InGaAs君などはシリコン君より5倍以上速く電子を流すことができます。それを活かして、100Gz以上の高い周波数でも増幅できるトランジスタが作れます。
でもあんまり大量に使わないでね。クラーク数のランキングを見てもわかるように、僕らの仲間はあんまり埋蔵量が多くないから。シリコン君みたいにありふれてないんだよ。

MN

2006年2月27日月曜日

半導体物語(その1)

私の名前はシリコンです。
ちょっとはずかしいですが、半導体の王様と呼ばれています。
なぜ私が半導体の王様なのかって?
まず、地殻にうなるほど含まれている元素なので、大量に安く手に入ります。
IV族の元素半導体なので、ともかく高純度にすると良い結晶ができ、良い特性が得られます。
このあたり、化合物半導体君とは毛並みが違います。(笑)
同じIV族でも、優柔不断な弟の炭素とはちがってかたくなにsp3軌道を保つし、太っちょ兄貴のゲルマニウムと比べて強い結合エネルギーを持っていますから、非常に完全性の高いダイヤモンド型の結晶を作ります。
バンドギャップも大きすぎず小さすぎず、手頃な1.1eVです。これが小さすぎるとちょっと温度が上がっただけで暴走するし、大きすぎると金属と仲良く電荷をやりとりできません。
同じ仲間同士の結合性軌道と反結合性軌道を使って価電子帯と伝導帯をつくりますから、同じとは言わないまでも電子も正孔もそこそこ速く走れます。
さらに、同じ地殻仲間である酸素君と混ざることによって非常に電気を流しにくい酸化物を作ります。酸素君の関節が柔らかい上に強く手を握ってくれるので、酸化物が安定なだけでなく、酸化物と純粋なシリコンとの境界も世間がうらやむほど完璧です。
こんな完璧主義者ですが、頑固なわけではありません。
周期表でご近所にいる硼素君やリンちゃんを、とけ込むように仲間に入れてあげることができます。ちょっとあまのじゃくな化合物半導体君とは違って、みんなと平等に手をつないであげるから、みんなが活性化してドナーやアクセプターとして働きます。
こんな性質のお陰でLSIもできるわけです。
もちろん、太陽電池やセンサーもお茶の子さいさいです。
えっ、苦手なことはあるかって?
実は....光を出すことだけは大の苦手です。
電気伝導に使うのは、シグマ結合の結合性軌道と反結合性軌道ですから、価電子帯と伝導帯の形がかなり違います。そのため、光子を直接つくるのは難しいのです。(訳者注:これを間接遷移と言います。)
まあ、一つくらい苦手なものがあったほうがかわいいでしょ♪

(というわけで、いくつかの半導体材料の自己紹介を随時翻訳していきます。訳者の怠慢で間違っている点などあれば、ご指摘下さい。)
つづく
MN

2006年2月17日金曜日

卒研発表終了!

ということで、4年生のみなさん、お疲れ様でした。
どうなることかと思われた頃もありましたが、全員無事に発表でき、しかも、総じて思っていたよりも良い仕上がりでした。ここ1週間は特に大変ではあったと思いますが、頑張ってやればあれだけ良いものになるということを心に刻んでください。そして、進学者は行き先の研究室でこれからも研鑽に励みましょう。

MS07

2006年2月16日木曜日

日経エレクトロニクス


手元に日経エレクトロニクスという雑誌のダイレクトメールが届きました。
(研究室では日経マイクロデバイスのほうは図書室にありますが、学生の皆さんたまには読んでますか?)
ぺらぺらとパンフレットをめくっていたら、写真のような掲載記事をジャンル分けしたページに出会いました。
この雑誌の編集部には「有機エレクトロニクス」をいたく気に入っておられる方がいて工藤先生も何度かインタビューを受けていますが、それにしても「有機」を強く売り出してますね。
「有機半導体がポストSiの本命に」なんて、かのやくざな先生(うちの研究室ではないですよ)でも言えません。(笑)
こうやって世間が注目している間に、本当に応用を意識した成果が次々と出てこないと、ただのブームで終わってしまいます。みんな心してかかりましょう!
MN

2006年2月13日月曜日



まずは何も聞かずここを見てください。
・・・・・・・・・・・

このタッチパネルはニューヨーク大のHanさんたちが研究しているMulti-Touch Interactionというプロジェクトのアウトプットだそうです。FTIR (frustrated total internal reflection)という基本技術が使われていて、これまでのタッチセンサーと違って複数の接触がセンスできるそうですが、正直技術的にはたいしたことない(失礼)です。でも、ムービーを見ると、そんなことより「PCやゲームがこんなインターフェースだったら面白い」と一人のユーザーとして思いますよね。ニンテンドーDSと同じで、「枯れた」技術を組み合わせていかに「使いたくなる」ものを作るかという問題は、製品クリエーター(あえて技術者とは言いません)の仕事の王道でもあると思います。
やっぱり、一般ユーザーが使う機械のインターフェースは直感的で楽しくなければならないと思います。AppleのMacintoshの特徴もインターフェースへのこだわりの歴史ですから、Appleがこれを取り入れるという噂も納得です。

テクノロジーに関わる人間の端くれとしては、このタッチパネルと有機ELと有機センサーなどを組み合わせて、プラスチックの下敷きみたいな薄型PCを作ってみたいですね。
MN

卒論

ただいま卒論のかき入れ時です。4年部屋にも張りつめた空気が流れているようです。教員が現れたときだけかもしれませんが。(自分のときはそうでしたw)

毎年のことですが、研究室のサーバーに置いてある「卒論修論執筆心得」すら読んでいないと思われる原稿が大量に出てきます。たぶん皆さんがこれまでに書いたことの無い分量の「理系の文章」ですから、内容によっては構成を考えるところから大変だと思います。
今からでも遅くないので、一段落したら木下是雄先生の書かれた「理科系の作文技術」(中公新書)を読むことをお勧めします。
安い本(ユーズド価格100円になってますねw)ですから、買っておいて損はないと思います。これを見ると、別に理系学生に限らず全ての文系の人も読んでみるベキだと実感します。(特に、要点の判らないだらだらした文書を書くお役人!)

この本を読んで、自分の文章が「逆茂木型」になっていないか確認してください。たぶん、ほとんどの人の卒論が逆茂木型ですね。

MN

2006年2月11日土曜日

blogをはじめてみました

分子機能デバイス分野スタッフ用のblogをはじめてみました。
スタッフの独り言(ぼやきはやめましょうね!)や学生の皆さんに聞いて欲しいこと、また、業界の最新情報などについて、気楽に書き込んでいけばいいかと思っています。

MN