2009年9月29日火曜日

CEATEC関連(2)

CEATEC関連のニュースのから、興味を持ったものを紹介していきます。

QDレーザらが量子ドット・レーザを利用した緑色レーザを開発,2010年秋の量産目指す
意外と言えば意外ですが、AlGaAs/GaAs系の赤色とInGaN/GaN系の青色との狭間で、緑色レーザーは今まで小型・安価・高性能なものが得られていないようです。緑色レーザーでは、通常近赤外レーザー光からSHGを利用して高調波としての緑色光を発生させますが、この発表では、励起レーザーに量子ドットレーザを用いていることが特徴です。
これで、三原色そろった小型レーザーを使ったモバイルプロジェクターの普及が加速するのでしょうか。

日本写真印刷らが色素増感型太陽電池を開発,2010年サンプル出荷へ
色素増感太陽電池は低コストかつ比較的変換効率の高いことが特徴ですが、耐久性に難があります。この発表では、印刷技術を利用して実用的な耐久性を得たそうです。有機材料を用いた太陽電池では色素増感型が一歩先を走っていますが、そろそろ実際に製品として使われ始めるでしょうか。

MN

2009年9月24日木曜日

当研究室の学生必読本

院生のP君と話をしていて、我々の研究室での必須知識について講義してほしいとリクエストされました。
まあ、そういうのもなかなか難しくって、よほどまとまった時間を取らないかぎり極簡単な話にしかならないし、また、人によって必須知識だと思うものも違うので、講義としてやるのはお互いコストパフォーマンスがよくありません。
我々の研究分野においていくつか必読の教科書があるので、それを手元に置いて、興味と自分のレベルに応じて何度も読むというのが一番だと思います。もちろん、わからないところとか疑問に思ったところは、いつでも質問に来てくれれば喜んで答えます。

そう思って学生の部屋を探し回ってみたのですが、どうやら、以前から研究室の学生の皆さんに「これだけは必読」と言っていた本が今では伝わっていないようです。
そこで、ここで改めていくつか挙げておきます。

まずは、絶対外せないこれ!
・木下 是雄 (著) 理科系の作文技術
理工系の大学生の必読本です。少々古くなっている感もありますが、今でも原理原則はまったく変わっていません。
四年生の人!卒研に取りかかる前に必読ですよ。

あとは、今いくつか思いついたものを挙げます。
・堀越 源一 (著) 真空技術 (物理工学実験)
当研究室のほとんどのテーマで大なり小なり真空を使います。
以前なら、この手の本を輪読したのですが、最近おろそかになってしまっています。ぜひ手元において、真空引きの待ち時間に人類の英知の一つである真空技術を学んで下さい。
(他にも類似の本はいくつかあります)

・Simon M. Sze (著) Physics of Semiconductor Devices
忘れてはいけない、半導体デバイスのバイブルです。論文のリファレンスでもよく見かけますね。半導体デバイスに関わる研究者、技術者のバイブルです。読んだことがない人はもぐりです。

・薄膜材料デバイス研究会 (編集) 薄膜トランジスタ
ちゃっかり宣伝もしておきます。
半導体物性およびデバイスについての学部レベルの教科書は、皆さん必ず持っているでしょう。しかし、薄膜トランジスタ特有の物理や作成プロセスなどについては、まとまった教科書は少ないのです。これはその貴重な一冊です。TFTに関わる人は必読です。

・上羽 牧夫 (編集) 結晶成長のしくみを探る―その物理的基礎 (シリーズ 結晶成長のダイナミクス)
当研究室でも、様々な形で結晶成長に関わる現象を扱うはずです。この手の本に一度目を通しておいて、「なぜこうなるんだろう?」と思ったときに学びながら現象の理解と説明ができるようになって下さい。

今日はここまで。
教科書というのは、手元にあるのと図書館で借りるのとでは大違いです。「積ん読」も実は価値があって、机に積んであれば、必要なときに時間のロス無く紙媒体を自分の記憶の延長として使えるのです。
買いそろえると高いですが、これらのリンク先を見てもわかるように、最近はネットで簡単に古本が買えます。ぜひ、自分の本として購入して下さい。

MN

2009年9月19日土曜日

CEATEC関連(1)

今後しばらく、CEATEC関連で気になった報道を紹介していきます。

最初はこれ。
学生のための「仕事研究サポートイベント」

私が学生の皆さんにCEATEC見学を勧めているのも、世の中の技術動向を知るだけでなく、自分が将来やる仕事についてイメージを確立してほしいからです。
このイベントなんて、まさに最適です。
研究室の院生の皆さんも、完全予約制とのことですので、早めに予約して是非参加して下さい。

以下、内容を転載。

1stステージ
「IT・エレクトロニクス業界セミナー」
先輩エンジニア達が語る、ここでしか聞けない業界研究セミナー
講 師:京セラ(株)、パナソニック(株)、(株)日立製作所、横河電機(株)他
時 間:11:00~13:00(受付開始10:30)
場 所:国際会議場2階「201」
定 員:150名


2ndステージ
「企業ブース訪問」
CEATEC JAPANを自由に見学。最新技術を体感しよう。
時 間:13:00~16:30
※人事担当参加ブースでの対応時間です。通常のブース見学は、イベント開催中は自由です。
場 所:各展示ホール
※人事担当参加の企業ブースに訪問するとシールを渡します。シールの枚数で素敵な賞品をプレゼント


MN

2009年9月14日月曜日

CEATEC2009

今年もCEATECの時期が近づいてきました。
エレクトロニクスの今と近い将来の姿を知る良い機会ですから、研究室の皆さんも是非見に行って下さい。特に就活を控えたM1の人たちは、「どの会社でどんな仕事をやってみたいか」を考えながら、積極的に質問などを行うと良いでしょう。

3年生でここを見ている人はあまりいないと思いますが、後期の「電子デバイス」では、CEATEC見学レポートを義務づけています。
今の内に入場登録を済ませておいて下さい。
全体を真剣に見ると丸一日かかります。時間割と相談して、なるべくまとまった時間参加できる日を選んで、幕張まで行ってきて下さい。

MN

09秋の応物学会

毎回恒例、当研究室関連の応物学会講演リストをまとめます。
参加する学生の皆さんは、ぜひ沢山の講演を聴いて新知識を吸収して下さいね。

※予稿集ページ番号等を編集しました。

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浦部裕亮,多田喜宏,酒井正俊,中村雅一,工藤一浩:
"TTF-TCNQワイヤの電界配向成長その場観察III",
第70回応用物理学会学術講演会(富山), p.1130 (2009.9.9) 9a-ZA-1.

中村雅一:
"自発的高次構造形成法による縦型有機『パワー』トランジスタ",
"新しいパイ電子系材料と高性能新型トランジスタ"シンポジウム,
第70回応用物理学会学術講演会(富山), p.60 (2009.9.9) 9p-K-6.

工藤一浩:
"新材料と新型素子への期待",
"新しいパイ電子系材料と高性能新型トランジスタ"シンポジウム,
第70回応用物理学会学術講演会(富山), p.63 (2009.9.9) 9p-K-11.

中山直樹,松原亮介,酒井正俊,工藤一浩,中村雅一:
"グラフォエピタキシーによるペンタセン薄膜の面内配向制御とそのキャリア移動度への影響"
第70回応用物理学会学術講演会(富山), p.1241 (2009.9.10) 10a-K-20.

高野智輝,前田悠,山内博,飯塚正明,中村雅一,工藤一浩:
"RFIDタグ用段差型有機トランジスタの基礎特性",
第70回応用物理学会学術講演会(富山), p.1245 (2009.9.11) 11a-K-2.

高原知樹、伊藤裕哉、石黒雅人、酒井正俊、中村雅一、工藤一浩:
"(BEDT-TTF)(TCNQ)配向結晶FETのチャネル領域におけるキャリア伝導"
第70回応用物理学会学術講演会(富山), p.1247 (2009.9.11) 11a-K-8.

2009年9月8日火曜日

応用物理学会フェロー表彰


現在、秋の応物学会開催中です。
本日、工藤先生が応用物理学会フェロー表彰を受賞されました。
これは、学術・研究における先駆的な業績、産業技術の開発・育成における重要な業績、教育・公益活動を通した人材育成や教育における業績などにより、応用物理学の発展に顕著な貢献をした者を表彰するものです。
工藤先生の受賞理由は「新規有機トランジスタの研究と有機エレクトロニクス分野の開拓」です。
おめでとうございます!

MN

2009年9月1日火曜日

理科ナビ

東京理科大がこんなサイトを作っています。
http://rikanavi.tus.ac.jp/

つい興味をそそられたので、私自身もやってみました。

結果は...

思考・行動ベースでのオススメ学科は基礎工学部材料工学科、興味・関心ベースだと一番関連が強いのが理学部応用物理学科でした。
これらの学科の他に、「学び方」で適合性が高いのが生物工学科、電子応用工学科など、「興味」の適合性が高いのが物理学科、化学科などでした。
まあ、今選ぶなら、さもありなんです。
いや、今に限らず、昔から興味と適合が食い違っていることは自覚しています。学際領域をやるには、そのほうが良いかと思います。

すでに千葉大電気電子系に入学してしまった皆さんも、自分の本当の姿を知るきっかけとして、ぜひやってみて下さい。

MN