2008年12月17日水曜日

G-COE国際ワークショップ


いよいよ、明日、明後日とG-COE他主催の国際ワークショップ
Workshop on Electrical and Electronic Properties in Crystalline Thin Films of Small Molecules
が開かれます。
中村の個人的な趣味で十数人の国内外の研究者を集めた濃いワークショップですので、濃い議論ができると思います。楽しみです。
院生の皆さんも、ぜひ考えながら聞いて下さい。

MN

2008年12月4日木曜日

2008 MRS Fall Meeting

恒例、MRSのFall Meetingに来ています。
今年のボストンは、まあまあ暖かい晴れた日が続いていて、町中を見物するのにも良い季候(といっても仙台よりやや寒い)です。
写真には、よく見ると馬に乗ったポリスが写っているはずです。町並みといい、こういうポリスといい、ボストンはアメリカの都市の中では良い味だしてます。日本で言う京都のような位置づけですからね。
会議もいつも通り盛大に行われていますが、今年は有機トランジスタと有機太陽電池関連の発表がかなり多くなっていました。アメリカではエネルギー関連に予算がシフトしているらしく、有機エレクトロニクスの中では太陽電池が盛り上がっています。
有機トランジスタに関わるところでは、大面積機能構造のシンポジウムGと有機半導体デバイスのシンポジウムHという関連するシンポジウムが2つあり、それぞれ4日間ありましたから、どちらにもそれなりの件数の発表がありました。有機ELや太陽電池を含むシンポジウムはこれとはまた別です。
日本のこの分野の研究者も多数来ていましたが、今年はなぜか中堅どころが多く、大御所の先生方はあまりいないという印象でしたね。

あるとき会場で講演を聴いていて、ふと横をみたらどこかで見覚えのある顔が....というか、見覚えのある顔をちょっとアレンジしたような顔。
以前ポスドクで当研究室にいて、今はドイツのForschungszentrum Karlsruheで仕事をしている岡村君です。
いや、まさかロンゲになっているとは思いませんでした。


さすがに月から金の間にはあまり聞きたいものが無い時間帯もありますし、そもそも夕方オーラルセッションが終わってから夜のポスターセッションが始まるまでに3、4時間あるので、ショッピングや観光の時間もそれなりにとれます。私は何度も来ているので、あまり珍しいところがないのですが、ちょっと欲しい買い物があってハーバード大のあたりまで行ってきました。
写真は、創立にかかわったジョン・ハーバード氏(創始者というわけではないらしい)の銅像がある広場です。プリンストン大もなかなかいい雰囲気ですが、こちらは大都市の町中にあるところがいいですね。アメリカの大学の例に漏れず、キャンパス内をリスが走り回っています。千葉大におけるねこちゃんみたいなものですね。
ちなみに、このキャンパスのあるのはケンブリッジ市ですがボストン市のすぐ隣で、街が続いています。グレーター・ボストン都市圏の一部です。
MRSの会場からも歩いていけなくは無い距離ですが、さらに徒歩圏にかのMITがあります。この2大学合わせるとノーベル賞受賞者100名超えるらしい.....さすが!

MN

2008年11月22日土曜日

飛び入りゲスト


中村グループの共同研究先であるイスラエル Tel-Aviv University の Rosenwaks先生のグループで、共同研究の実験を担当しているShay Yogevさんが急遽訪問されました。
成田からの移動途中にふらっと立ち寄れるロケーションにあるというのは、千葉大のメリットですね。
共同研究の実験結果についても、定例のグループミーティングを延長してディスカッションすることになり、メールや電話でやりとりするよりはるかに有意義にディスカッションができたと思います。
有機半導体薄膜で、これまでよく解らなかったことが解ってきたように思います。
今後に期待しましょう!

MN

2008年11月6日木曜日

TFTテキスト


薄膜材料デバイス研究会第5回研究集会に出席した方はご存じと思いますが、同研究会編の教科書「薄膜トランジスタ」が出版されました。
従来、TFTに特化した日本語の教科書がなく、大学や企業で関係する研究開発を始めた人にとって、あちこちに分散した知識をまとめて学ぶことが困難でした。
そこで、薄膜材料デバイス研究会の組織委員を中心に新たに本を作ったのです。
Si-MOSトランジスタとは異なる点についても詳しく書かれており、Si系のTFTについては作製技術や評価技術についてもかなり記述されています。
現時点で書ける範囲で、酸化物半導体や有機半導体についても簡単な記述を入れてあります。
目次はこちら。

是非ご一読下さい。

MN

2008年11月2日日曜日

薄膜材料デバイス研究会第5回研究集会開催のお知らせ

薄膜材料デバイス研究会の第5回研究集会が終了しました。

年々参加者が増え、ついに200人に達しました。
おかげさまで、従来から使っていた小規模な会場が使えなく
なってきて、今回は写真のように立派な「なら100年会館」で開催されました。
中ホールを使っての開催でしたが、初日夜は隣の大ホールでスガシカオのコンサートでしたね。当日券売っていましたから、薄材研に参加した
学生で突発的にコンサートに行ってしまった人もいるとかいないとか...

今回のもう一つ会場関連で制約がありました。写真の方々の旅程と重なったからです。

こんなケータイのピンぼけの写真では全然何のことやら判らないかもしれませんが、このクルマの後部座席左側が天皇陛下、右側が皇后陛下です。
この時期ちょうど正倉院展が開かれているのですが、それに天皇皇后両陛下が来られていたのです。(前日はチャールズ皇太子でしたが。)
写真は、薄材研開催前日の準備のために、100年会館に集合するために道を歩いていて、偶然遭遇したところです。これで、信号10分待ちになりました。
未確認情報ですが、この夜は翌日薄材研のバンケットが開かれたホテルに宿泊されたという噂です。


写真はポスター会場の様子です。F君発表中。
このバックに写っているのが、オーラル会場で、珍しくホールの上半分がガラス張りです。残響を押さえる特殊なフィルムが貼られたガラスらしいですが、それでもエコーが豊かでしたね。研究発表ではなく歌でも歌えば気持ちよかったかもしれません。
ポスター会場も、ホールのウェイティングで使ういわゆるホワイエと
いうところでやったので、ちょっと変形会場でした。途中が大階段なので、準備作業で足が疲れました。

こちらは、T君発表中の写真。
瀧宮先生とディスカッション中です。決して二人で瞑想しているわけではなく、たまたまシャッターのタイミングが悪かったようです。申し訳ありません。
今回写真がありませんが、D1の松原君の発表が「ベストペーパーアワード」に選ばれました。おめでとうございます!
表彰式の写真がない(私は副賞贈呈係をやっていたので撮れませんでした)ので、入手次第追加しますね。

MN


追記:
松原君の表彰式の写真をアップします。
おめでとうございます。

2008年10月30日木曜日

FPD International 2008

2008年10月27日月曜日

奈良と言えば

今週末は、いよいよ薄膜材料デバイス研究会の第5回研究集会が開催されます。
当研究室からの発表は残念ながら3件ですが、有機以外の半導体デバイスの状況も勉強する良い機会ですから、他の人も是非参加して下さい。

奈良というと皆さん何を思い出しますか?
鹿?大仏?
実は、毎年この時期に、奈良国立博物館で正倉院展が開かれているんです。
かの世界遺産である東大寺正倉院です。日頃非公開の宝物がこの時期だけは公開されます。
金・土・日は19:00までですので、ぜひ時間をやりくりして、これも見てきてください。
ちなみに、正倉院の宝物は9000点以上あって、公開されるのは毎年数十点だそうです。毎年変わるので、150年くらい毎年見に行けば全部見られますよ。

場所が違いますが、正倉院そのものもぜひ見学してください。築1250年(!)くらいです。

MN

追伸:
チャールズ皇太子も29日に奈良に行きます。
ぎりぎりかち合わなくて良かった。

2008年10月4日土曜日

'08CEATEC行ってきました

毎年恒例、CEATECに行ってきました。 今年は例年になく目玉展示が少なかったかもしれません。 事前に話題に上っていたのは、ムラタセイコちゃん(TM)だけかもしれません。 そこだけ、見ての通り人だかりがすごくって、はまともに見るのを諦めました。 村田製作所もすっかり有名になりましたね。

今回の個人的一押しはこれ。
ロームの「絵の出るLSI」、ドライバーICの上に直接有機ELを積層した小さな表示デバイスで、1画素は100μmオーダーのサイズです。デジカメやビデオのビューファインダーなどに使えそうです。
ポスターの右上のキャッチフレーズ「軽っ!薄っ!小さっ!」がちょっとトホホですけど。


有機ELテレビと言えばソニーですが、昨年の華々しさとは打って変わって、今回はあまりELテレビの展示に力が入っていませんでした。昨年は、画面を食い入るように見ている人がたくさんいたのですけど、XEL-1はもう見慣れてしまいましたから。唯一の見せ場は、この厚さ0.9mmの試作ディスプレイ。パネル部だけならなんと0.3mmだそうです。
しかも、湾曲させてますね。
早く20インチや30インチクラスのテレビを市販して欲しいものです。


地味ながら今回気に入ったのは、このTDKの透明アンテナです。アンテナパターンが写真で見えますか?
予想以上に透明度が高く、これならクルマのフロントガラスに貼っても視界をまったく妨げないですね。
ITOを使っているのですが、スパッタではなく、ペーストを塗布してUV照射することで透明導電膜になるそうです。これも一種のプリンタブルエレクトロニクス。

MN

2008年9月16日火曜日

研究室で身につけてほしいこと

今年は、例年になく研究室に現れない四年生が多くいて、先行きが心配です。それもあって、以前なら研究室内や合宿などでの雑談で話したりしていたことですが、ここでつぶやいておくことにします。
自身が、学生として研究室で学び、10年間メーカー社員として働き、その後大学教員として学生を指導してきた経験から、工学系の学生に「研究室で」身につけて欲しいことです。
(ここでは四年生から修士2年の期間限定。博士はさらに別のことも要求します。)

・基本的な専門知識のおさらいと現実の問題への応用力
・何が問題かを自分で見つけて自分で解決する能力
・常に「なぜか?」「どうすればよいか?」を考える習慣
・必要な知識を自ら学ぶ姿勢
・論文や特許などの情報の集め方、読み方
・1ヶ月から1年のタイムスケールで、目標とスケジュールを定めて期限内に仕事を完結させる計画力と実行力
・複雑怪奇な因果関係のパズルを考え抜いて解決する思考力と集中力
・理路整然と考え、理路整然と人に説明する能力
・他人に判りやすい価値のある報告書や論文を書く能力
・他人に自分の考えを的確に納得させるプレゼンテーション能力
・理系技術系の内容限定でよいので、英語で最低限のコミュニケーションが取れる能力
・上司(指導教員)や同僚などとチームで円滑に仕事をする態度
・「ほう・れん・そう」(報告と連絡と相談、ね)を確実に行う習慣
・仲間を束ねるリーダーシップ
・仕事上の他組織(会社など)とのつきあい方
・いやな同僚や上司のかわしかた
・相手がどんなに偉い人でも、日本語を話さない外国人でも、敬意をはらいつつ臆さず議論する度胸

これらはすべて、企業で技術職として働く人に必ず必要だと思う能力です。なんなら、つきあいのある企業の採用担当の人に「この中で御社の大卒社員に不要と思う能力があるか?」と聞いてみて下さい。
しかも、が、研究室にいる学生の皆さんより10年くらい先輩(ややウソあり)として後ろを振り返ってみて、これらはすべて「大学の研究室で」少なくともとっかかりくらいは身についたと思う能力です。ただし、さぼっていてはだめです。3年間、それぞれの場面で自分がやるべきことを一生懸命やったなら、です。
若いときに避けた苦労は、歳食ってから何倍にもなって降りかかってきますよ。(<-本当に経験談) 『使ったところが強くなる 頭でもからだでも・・・』 相田みつを

MN

2008年9月10日水曜日

08秋の応物発表

秋の応物学会の当研究室関連の発表予定が集まりましたのでお知らせします。

多田喜宏,酒井正俊,飯塚正明,中村雅一,工藤一浩: 
"TTF-TCNQワイヤの電界配向成長その場観察", p.1075 (2008.9.2) 2a-ZT-2

渡邊康之,家地洋之,山内博,工藤一浩: 
"p型有機半導体とn型酸化物半導体を用いた論理回路の特性", p.1181 (2008.9.2) 2a-CG-7

増田将太郎,竹之内優介,藤本潔,中村雅一,酒井正俊,工藤一浩: 
"高次構造縦型有機トランジスタの特性に対する有機半導体層グレインサイズの影響", p.1185 (2008.9.2) 2a-CG-20

高原知樹,伊藤裕哉,酒井正俊,中村雅一,工藤一浩: 
"(BEDT-TTF)(TCNQ)結晶FETにおける化学ドーピング効果", p.1191 (2008.9.3) 3a-X-8

酒井正俊,中村雅一,工藤一浩: 
"有機結晶の電界配向成長を利用した有機ナノトランジスタの自己整合形成", p.1193 (2008.9.4) 4a-X-2 (有機分子・バイオエレクトロニクス分科会奨励賞受賞記念講演)

高野智輝,山内博,飯塚正明,国吉繁一,酒井正俊,中村雅一,工藤一浩: 
"段差構造を利用した縦型有機トランジスタの周波数特性", p.1197 (2008.9.4) 4p-X-5

松原亮介,酒井正俊,工藤一浩,熊谷敦史,吉本則之,中村雅一: 
"ペンタセン多結晶膜における電気特性と面内結晶子サイズの関係", p.1110 (2008.9.5) 5a-P15-10

2008年9月9日火曜日

相変わらず日本は主要国中最低

共同通信社のニュースより

 経済協力開発機構(OECD)は9日、加盟各国の2005年国内総生産(GDP)に占める教育への公財政支出割合について調査結果を発表、日本は前年よりも0・1ポイント減少し3・4%で、データ比較が可能な28カ国中で最下位だった。
(中略)
 教育段階別の公財政支出でみると、小中高校までの初等中等教育では、日本は2・6%で下から3番目。大学などの高等教育は0・5%で各国平均のほぼ半分となり最下位だった。

この国の高等教育への支出は、ご覧のとおりOECD加盟主要国中群を抜いて最低です。こういうニュースが、なぜかテレビなどではあまり報道されず、巷間の話題にものぼりません。おかげで、政治家もこういう問題はほとんど無視で、選挙でも話題になりません。
今度の総選挙では、これについて何らかのアクションを取ってくれる人に投票したいところですね。

MN

2008年9月5日金曜日

08秋応物の様子


2008年の「秋」の応物学会が終了しました。秋とは名ばかりで残暑の厳しい9月頭の名古屋(正確には春日井)での開催でした。
写真は、「有機分子・バイオエレク

トロニクス分科会奨励賞」の受賞記念講演を終えた酒井さんの記念写真。今回の有機バイオ分科会は、論文賞に石井先生、講演奨励賞に同研究室の中山さんと、千葉大COE関係者づくしで、壮観でしたね。


3日目夜の研究室打ち上げは、呼び込みのお兄さんたちをかわしつつ、名古屋テイストの店として有名な(伝聞)伍味酉へ。OBとしてO君も参加しましたが...工藤先生が都合が合わなかったのとM2全滅だったので少人数での打ち上げとなりました。
味噌煮込みあり、手羽先あり、名古屋コーチンの各種料理あり、きしめんありと、名古屋名物ならなんでもありという感じで、名古屋テイストを堪能してきました。
学会なのにいつも打ち上げの写真ばかりで恥ずかしいのですが、応物講演会場は写真撮影禁止なので発表の写真は無しで勘弁下さいね。

MN

2008年9月1日月曜日

薄膜材料デバイス研究会第5回研究集会開催のお知らせ


投稿締切が9/12まで延長されました。

今年も、秋に「薄膜材料デバイス研究会」の研究集会が開催されます。
有機トランジスタの研究者にとっては、薄膜トランジスタとしてはるかに先行した歴史を持つポリシリコンやアモルファスシリコンの研究者、および、一部アプリケーションでライバルとなる酸化物半導体の研究者ともディスカッションができる点で貴重な機会かと思います。

学生の皆さんにとっては次のメリットがあります。
・ビギナー向けのチュートリアルと各界著名研究者による招待講演が聴ける。
・学生の参加費(豪勢なバンケット代込み!)が安い!
・和文アブストが4ページまで掲載されるので、修論の一部をまとめるのに良い。
・参加者投票によるアワードを狙える。
・ついでに京都奈良の観光もできる。
当研究室の院生の皆さんも、ぜひ参加して下さい!

 記

薄膜材料デバイス研究会 第5回研究集会「薄膜材料・デバイスの徹底比較」

日程: 2008年10月31日(金)11月1日(土)
場所: 奈良100年会館
主催: 薄膜材料デバイス研究会組織委員会
協賛(予定を含む): 応用物理学会、応用物理学会 有機分子・バイオエレクロニクス分科会、応用物理学会 プラズマエレクトロニクス分科会、電子情報通信学会、日本金属学会、日本真空学会、電気学会、日本物理学会他
アブストラクト締切:9月12日(金)
※研究会ホームぺージに投稿の案内があります。
参加費(事前申し込み): 一般 10,000円、学生 4,000円(バンケット代
込)

招待講演(敬称略)
浜口智尋 (大阪大学名誉教授) 「エレクトロニクス時代を築いた天才科学者たち」
土屋敏章(島根大) 「シリコン及びシリコン系ヘテロMOSデバイスの信頼性物理」
外山利彦(大阪大) 「高速製膜微結晶シリコン太陽電池」
南方 尚 (旭化成) 「ウエットプロセス有機トランジスタ」

チュートリアルプログラム(敬称略)
薄膜材料デバイスの5年間 -どのような材料がデバイスに必要とされるのか-
・イントロダクトリ : 木村睦(龍谷大) 
・poly-Si : 東清一郎(広島大)
・a-/c-Si:H : 増田淳(産総研) 
・有機半導体 : 時任静士(NHK技研)
・酸化物半導体 : 大友明(東北大)

研究会の詳細については、ホームページをご覧ください。

2008年7月11日金曜日

ICSM2008(その2)


水曜の夜には、盛大なバンケットがあり、アトラクションとしてブラジルのダンス(かな?)が披露されました。4年前のオーストラリアの時はコアラが登場して人気を集めていたのを思い出しました。2年後の京都では、どんなアトラクションをやるのでしょうね?
舞妓はんかな?


木曜には、の発表(一応招待講演でした)に加えて、O君のポスター発表もありました。写真はその様子。
なかなか盛況のようでしたね。さすが、彼も説明慣れたもんでした。

さて、後は帰るだけ。それが一番問題だったりして....

2008年7月10日木曜日

ICSM2008(その1)


は、院生のF君および現在産総研にいるO君とともに、ICSM2008に参戦のためブラジル北東部のPorto de Galinhasという町のリゾートホテルにいます。
ここまでたどり着くのに、千葉の自宅から40時間ぶっ続けで移動でした。地球の反対側ですからね。おまけに、悪天候でアメリカから移動の飛行機が予定地と違うところに降りるというハプニングがあって、ブラジル国内便を改めて買い直す羽目になりました。
金返せ!

会場は、けっこう高級目のリゾートホテルで、中庭にはこんなプールがあり、向かいに見えるレストランの向こうはビーチです。
いつもの国際会議だと、合間を見て市内観光したりするのですが、ここはあまりに隔絶されたところなので、あまり出歩く気になりません。クルマが必要。
そのかわり、ホテル内にSPAもあって、各種ジャクジーとかサウナとか、なんか洞窟風呂みたいな塩水プールとかもあり、他にもパターゴルフとかジムとか遊ぶ施設がいくつかあります。
連日食事をしているレストランは、ビュッフェスタイルでいろんなものが出ているのですが、地元の人に聞くと結構典型的なブラジル料理だそうです。甘い食べ物はめっぽう甘いのですが、それ以外のものは香辛料も甘みも酸味もきつく無くって、基本絶妙な塩味です。意外にの好みにマッチしていて、気に入りました。これで、食事に不満が出ない国が、イタリア、中国(腹の調子わるくなることあるけど)、ブラジルと3カ国になりました。

地球の裏側で英語のオーラル講演という、前代未聞の対外発表デビューとなったF君は、水曜午前に無事無事発表を終えました。どうやら、前の晩からほとんど寝ていなかったみたいです。
なにより、質疑応答時間が足りない程度には反響があってよかったです。少なくとも興味を持った人には内容がほぼ伝わっていたと思います。
さすがに、早口の質問にはフリーズしていましたが....デビュー戦でここまでやれば立派でしょう。
ブラジルの研究者から共同研究についても相談がありました。

これは、初日のウェルカムパーティーのときに写真屋さんが取ったものをならべて売っているところです。左下にO君がばっちり映っています。その上は、ハイライト講演を行った有名なマックスプランクのKlaukさん(昨年のAlpine Workshopでもお会いしました)、さらにその上の左端の人がかのノーベル賞受賞者Heeger先生です。
また、すごい列に並びましたね。偉い人と間違えられたのか?
なお、O君はKlaukさんに聞きたいことがあったようで、が捕まえて紹介したら、自分で根掘り葉掘り実験のことについて聞いていました。
実験うまくいくと良いですね。

2008年6月16日月曜日

たまには漱石先生を思い出して

は、これまでの生涯で何度か夏目漱石にはまった時期があります。
あまりはまりすぎると、神経性胃炎が伝染るので、毎回適当に抜け出すことにしています。

なんで、突然ここに漱石かというと、これまでに先生の文章で文学的に感動した文章は数多くありましたが、「まいったな」と思った文章があったのをふと思い出したので、紹介します。

「事実上諸君は理想をもっておらん。家に在っては父母を軽蔑し、学校に在っては教師を軽蔑し、社会に出でては紳士を軽蔑している。これらを軽蔑し得るのは見識である。しかしこれらを軽蔑し得るためには自己により大なる理想がなくてはならん。自己に何らの理想なくして他を軽蔑するのは堕落である。現代の青年は滔々として日に堕落しつつある」 

「野分」の中で道也先生が書生を相手にぶった演説です。 

なにしろ、100年近く昔の文章なので、ここで叱られている「現代の青年」の皆様は、今の青年の曾爺さんあたりなのですが...
明治も平成も関係なく、どきっとするくだりでしょう?

それだけ、人間社会に普遍的な説教であり、心に留めておくべきことなんだろうと思います。

MN

2008年6月8日日曜日

The World's Most Respected Companies

ForbesがThe World's Most Reputable Companiesという記事を発表していました。

これは元々Reputation Instituteというところが発表しているランクで、products and services, innovation, workplace, citizenship, governance, leadership, performanceの7項目を点数化するようです。それぞれの国内における評価に基づいているようですので、Reputation Instituteでの国間の点数調整がくせ者ですが、ランクインしている会社は「外からの評判が良い会社」であることは間違いないでしょう。

発表されている200位までのリストに日本の会社も16社入っていましたので、抜き出してみます。

1 Toyota Motor Corp.
16 Sharp Corp.
28 Matsushita Electric Industrial Co. Ltd.
34 Bridgestone Corp.
35 Canon Inc.
37 AEON Co. Ltd.
38 Sony Corp.
39 Honda Motor Co. Ltd.
62 FUJIFILM Holdings Corp.
75 Seven & I Holdings Co. Ltd.
109 Hitachi Ltd.
135 Denso
139 Suzuki Motor Corporation
146 NEC Corp.
148 KDDI Corp.
194 FUJITSU LIMITED

なんと、今年はトヨタが世界ランクトップです!
M2のT君、良かったですね。

MN

2008年6月6日金曜日

2008年の国際会議

今年開催される有機エレクトロニクス関連の国際会議をリストアップします。
時々情報が更新されますので、ご注意下さい。
PD、ドクター学生だけでなく、マスターの人も是非発表を申し込んで参加しましょう!
もちろん発表する人には旅費の補助が出ます。

MRS International Materials Research Conference
2008/6/6-12 Chongqing, China
アブストラクト締切:1/15 <<終了>>

Organic Microelectronics & Optoelectronics IV
2008/7/7-10 San Francisco, CA
アブストラクト締切:3/3 <<終了>>

The Fifteenth International Workshop on Active-Matrix Flatpanel Displays and
Devices (AM-FPD)

2008/7/2-4 Tokyo
※Student Paper Awardあります!
アブストラクト締切:3/14 <<終了>>
レートニュース締切:5/16 <<終了>>

2008 edition of the International Conference on the Science and Technology of Synthetic Metals (ICSM2008)
2008/7/6-11 Pernambuco, Brazil
アブストラクト締切:3/25 <<終了>>
レジストレーション締切:3/30 <<終了>>

The 5th International Symposium on Organic Molecular Electronics (ISOME2008)
2008/5/22-23 Himeji
※プロシーディングス -> IEICE Transactions on Electronics
アブストラクト締切:3/31 <<終了>>

The 8th International Symposium on Functional Pi-Electron Systems (FPi8)
2008/7/21-25 Graz, Austria
アブストラクト締切:4/30 <<終了>>
レジストレーション締切:4/30 <<終了>>

2008 International Conference on Solid State Devices and Materials (SSDM 2008)
2008/9/23-26 つくば, Japan
アブストラクト締切:5/8 <<終了>>
レートニュース締切:7/28

2008 E-MRS Fall Meeting
2008/9/15-19 Warsaw, Poland
アブストラクト締切:5/12 <<終了>>
レジストレーション締切:7/31

The Gordon Research Conference on "Electronic Processes in Organic Materials"
2008/7/20-25 South Hadley, MA (USA)
アブストラクト締切:6/29 (早く締め切られる可能性あり)
※これは知る人ぞ知るちょっと特殊な会議です。

2008 MRS Fall Meeting
2008/12/1-5 Boston, USA
アブストラクト締切:6/24

The 5th International Symposium on Surface Science and Nanotechnology (ISSS-5)
2008/11/9-13 Tokyo
※プロシーディングス -> e-JSSNT
アブストラクト締切:6/30
レジストレーション締切:10/9

5th International Conference of Molecular Electronics and Bio-electronics (M&BE-5)
2009/3/16-18 フェニックス・シーガイア・リゾート(宮崎)

2008年5月27日火曜日

国語力は理系を救うか!?

何週間かぶりに土日まるまる休みになったので、なんか軽い読み物でも読もうと「チーム・バチスタの栄光」という本を読みました。

この本、海堂尊さんという本業お医者さんの小説家としてのデビュー作で、阿部寛主演で映画にもなったので知っている人は多いでしょう。ご本人が積極的に本名や経歴を公表されてはいませんので、あくまで未確認情報ですが、千葉大医出身の方のようです。ちょっと親近感がわきますね。

『このミステリーがすごい!』大賞を受賞しているので、出来具合は保証付きだったのですが、期待は裏切られませんでした。もし、まだ読んでいない人がいたらお勧めです!
なにしろ、この2年間で至るところに書評が出たベストセラーですから、ごとき理系脳がここで小説そのもののありきたりの感想は書きません。いや、書けません。(^^;
ただ、ちょっと派生的な感想を持ったので、まあ戯言ですがここで書いておこうかと思います。

何を隠そう、は「いわゆる理系の人が書いた小説マニア」なんです。この前のSPring-8からの帰途では東野圭吾さん(氏は大阪府大の電気工学出身です)の本を読んで過ごしましたし。
何故こうなったかは....小説ではありませんが、幼少時に受けた手塚治虫の影響でしょうかねぇ。たぶん、日本に10万人くらいはそういう人いるはずです。(根拠無し)
これまでにも、医学部を含めた理系学部を卒業した作家や現役大学理系教員などの方々が書いた小説を沢山読みましたが、実のところ結構ハズレを引いています。中には、1/3くらいで、あまりに苦痛でもう読むのを断念したものまであったりして。

ところが、このチーム・バチスタの栄光は大当たりでした。これを読んですごいと思った点は、多くのミステリー小説にありがちなアイデア命でつっぱしるのではなく、登場人物の性格描写がなかなかに鋭いところです。マンガチックに少々デフォルメがきついのですが、それぞれの性格から「こいつが犯人だとすると犯行に至った動機はなにか?」というのを想像する楽しみがあって、そこそこの長編ながら飽きません。ジェフリー・アーチャーに匹敵するか?と思います。唯一第一人称で書かれた主人公の心理描写もスパイスになっています。
もっとも、一部の純文学みたいに、「全編かけて主人公の性格描写しただけやんけ!」っていうのは嫌いなんですけど。

ここで独断に走りますが、この小説の出来具合って医学部の人が理工系の人より「国語」が得意なことと関係あるんでしょうかね。
あくまで一般論ですが、医学部の人って、入試でもれなく高得点をとらないといけないからか、理工系よりも国語の得意な人が多いんですよね。国語が苦手な人の特徴って、おそらく小説について論じることが嫌い、中でも「ここで主人公はどのような心情であったか?」なんて問われると「けっ!」と思う人が多いんじゃないかと。かくいうも、高校時代に、小説について感想文を書かせてそれを採点することがいかにつまらない思想強制であるかという点において国語教師に戦いを挑み、と書くとすごいですが、結局のところ夏休みの読書感想文提出を拒んで何日か舌戦を繰り広げた挙げ句、その年の現代国語の成績に10段階の3を付けられたことがあります。
あれ?でも、そのとき共に戦った同志はその後東大理IIIに行ったっけ?
まあ、学問に対する好き嫌いと、必要に迫られたらテストはこなすってのは別物ということで。

話を戻すと、というか、さらに転ばすと、は工学部でも国語の入試点数で足きりしてみたらどうかと思うのです。それも、古文漢文ではなく現代国語の点数で。
評論文では、物事について論理的に説明したり、そのような文章を論理的に理解する能力が問われます。これはもちろん、理工系に必須の能力ですから重視すべきです。一方、小説では、つまるところ、人の心の機敏を読みとる能力が問われるのではないかと思います。一般的に理工系の人はここが弱点であることが多くって(統計的にね)、本音の人付き合いでは問題なくても、この弱点のために社会で文系の連中相手に微妙な駆け引きで不利を被っていることが多いのではないかと。国語の能力で足きりしたら、平均値として理工系の社会的地位が上がるのでは?と思ってみたりしたんです。
って、こんなふうな単純化還元主義が、そもそも人間を論ずるに間違った考えなのかもしれませんけどね。

MN

2008年5月21日水曜日

さすが'Super Photon'


5/17-20にかけて、兵庫県にあるSPring-8まで、松原君と中村とで面内X線回折の実験に行ってきました。
さすが、世界最高レベルの光源と設備だけあって、期待した以上のデータが取れて大満足です。BL46XUの光源とHUBERの巨大なゴニオメータや検出系の能力はすばらしかったです。後は、せっかくのデータの価値を最大限に引き出す解析と考察ですね。->松原君

それにしても、SPring-8はでかかった!

人手と経験不足なのを助けていただいた岩手大の吉本先生と熊谷君、それから連日深夜まで面倒を見ていただいたJASRIの廣沢さん、どうもありがとうございました。

2008年4月20日日曜日

マグロ!?

TBSの日曜劇場「猟奇的な彼女」、見ましたか?
千葉大でロケしていたのは知っていたのですが、合計したらおそらく10分以上西千葉キャンパスのあちこちが使われていましたね。

なんと、我らが工学部12号棟から11号棟にかけての渡り廊下では、「夏目教授」がマグロを引きずっていました。(^^;
もう少し、綺麗な廊下を使えば良いのに....

それにしても、マグロ解体する講義なら、ぜひもぐって参加したい!

MN

2008年3月31日月曜日

ペンとハンマー


この旗はなんの旗が知っていますでしょうか?
旧制官立専門学校の一つである1921年設立の東京高等工芸学校の校旗だそうです。
そう、千葉大工学部の母体となった学校です。

この校章は、「聖火を中心にマーキュリーの羽根をあしらい、それにハンマーと筆を組み合わせた」ものだそうです。デザインの由来は残念ながら調べられなかったのですが、美と匠気と学術の融合を意味しているのでしょうか。

このハンマーとペンを自分勝手に曲解すると、今の我々にも教訓として活かせるように思います。
ハンマーは新しい発想の電子デバイスや未知の物性を調べる装置を実際に形にして世に送りだすことを、ペンは闇雲になにかを作るだけでなくそこから普遍的な真理や学術的な意味を導き出すことを表していると思うことにします。

研究室の学生のみなさんも、ぜひハンマーとペンを両方持って研究に取り組んで下さい。

MN

2008年3月29日土曜日

08春の応物発表

春の応物学会の当研究室関連の発表予定が集まりましたのでお知らせします。
<<ページ数追加しました。>>

成田幸介,塩岡洋将,山内 博,飯塚正明,國吉繁一,酒井正俊,中村雅一,工藤一浩:
"塗布型有機絶縁材料を用いたFETの作製",
第55回応用物理学関係連合講演会(船橋), p1383 (2008.3.27) 27a-W-2

竹之内優介,中村雅一,酒井正俊,工藤一浩:
"高次構造有機SITのためのアクセプタ材料の検討",
第55回応用物理学関係連合講演会(船橋), p.1389 (2008.3.27) 27a-W-19

酒井正俊、斉藤聡伸、飯塚正明、中村雅一、工藤一浩
"自己配線構造を有する有機ナノFETの作製と導電率分布測定II",
第55回応用物理学関係連合講演会(船橋), p.1392 (2008.3.27) 27a-W-28

古谷野賢人,国吉繁一,山内 博,飯塚正明,酒井正俊,中村雅一,工藤一浩:
"ポーラスアルミナを用いたSITの作製",
第55回応用物理学関係連合講演会(船橋), p.1400 (2008.3.28) 28p-ZE-10

高野智輝,山内博,飯塚正明,國吉繁一,酒井正俊,中村雅一,工藤一浩:
"アクティブマトリクスディスプレイ用段差型有機FETの作製",
第55回応用物理学関係連合講演会(船橋), p.1400 (2008.3.28) 28p-ZE-11

坂井祐貴,中村雅一,酒井正俊,工藤一浩:
"有機TFT測定のためのAFMポテンショメトリ用探針の評価",
第55回応用物理学関係連合講演会(船橋), p.683 (2008.3.28) 28p-Q-13

酒井正俊、伊藤裕哉、高原知樹、中村雅一、工藤一浩
"金属-絶縁体転移点近傍における(BEDT-TTF)(TCNQ)結晶の電子移動度変化",
第55回応用物理学関係連合講演会(船橋), p.1408 (2008.3.29) 29p-ZE-9

中村 雅一,松原 亮介,大橋 昇:
"有機多結晶薄膜トランジスタにおけるキャリア輸送の制限要因", 
第55回応用物理学関係連合講演会(船橋), p.125 (2008.3.29) 29p-ZF-7

今回会場がご近所なので、発表しない場合も、現四年生も含めて全員参加して下さい!

2008年3月26日水曜日

学位取得おめでとうございます!


昨日の学部卒業式に引き続き、今日は大学院の終了式でした。
博士および修士の学位を取得したみなさん、おめでとうございます。2年間あるいは3年間の苦労は決して無駄ではない(と信じています)ので、学位に恥じないようこれからも研鑽を積んで下さい。

ちなみに、写真は咲きかけの桜をバックに、取得ほやほやの家地博士(社会人院生)と大橋博士です。家地さんは、なんと改組後の工学研究科博士第一号です。

しゅ、修士の人たちは....写真撮る前に逃げられました。アイツラッ!

MN