2008年9月16日火曜日

研究室で身につけてほしいこと

今年は、例年になく研究室に現れない四年生が多くいて、先行きが心配です。それもあって、以前なら研究室内や合宿などでの雑談で話したりしていたことですが、ここでつぶやいておくことにします。
自身が、学生として研究室で学び、10年間メーカー社員として働き、その後大学教員として学生を指導してきた経験から、工学系の学生に「研究室で」身につけて欲しいことです。
(ここでは四年生から修士2年の期間限定。博士はさらに別のことも要求します。)

・基本的な専門知識のおさらいと現実の問題への応用力
・何が問題かを自分で見つけて自分で解決する能力
・常に「なぜか?」「どうすればよいか?」を考える習慣
・必要な知識を自ら学ぶ姿勢
・論文や特許などの情報の集め方、読み方
・1ヶ月から1年のタイムスケールで、目標とスケジュールを定めて期限内に仕事を完結させる計画力と実行力
・複雑怪奇な因果関係のパズルを考え抜いて解決する思考力と集中力
・理路整然と考え、理路整然と人に説明する能力
・他人に判りやすい価値のある報告書や論文を書く能力
・他人に自分の考えを的確に納得させるプレゼンテーション能力
・理系技術系の内容限定でよいので、英語で最低限のコミュニケーションが取れる能力
・上司(指導教員)や同僚などとチームで円滑に仕事をする態度
・「ほう・れん・そう」(報告と連絡と相談、ね)を確実に行う習慣
・仲間を束ねるリーダーシップ
・仕事上の他組織(会社など)とのつきあい方
・いやな同僚や上司のかわしかた
・相手がどんなに偉い人でも、日本語を話さない外国人でも、敬意をはらいつつ臆さず議論する度胸

これらはすべて、企業で技術職として働く人に必ず必要だと思う能力です。なんなら、つきあいのある企業の採用担当の人に「この中で御社の大卒社員に不要と思う能力があるか?」と聞いてみて下さい。
しかも、が、研究室にいる学生の皆さんより10年くらい先輩(ややウソあり)として後ろを振り返ってみて、これらはすべて「大学の研究室で」少なくともとっかかりくらいは身についたと思う能力です。ただし、さぼっていてはだめです。3年間、それぞれの場面で自分がやるべきことを一生懸命やったなら、です。
若いときに避けた苦労は、歳食ってから何倍にもなって降りかかってきますよ。(<-本当に経験談) 『使ったところが強くなる 頭でもからだでも・・・』 相田みつを

MN