2011年3月28日月曜日

千葉県における環境放射線量推移

千葉県が公開している放射線などの測定結果より、千葉県環境研究センター(市原市)で計測された大気環境の空間放射線量の推移をグラフにしてみました。


これを見て、いくつか判ることを述べます。

まず、放射性物質の飛来について。
地震直後に早くも少し来ていますが、最初の激しいピークは3月15日から16日にかけてです。
この時期は雨は降っておらず、主に北からの強い風が吹いていました。福島第1原発で爆発が何度かあった時期ですから、そのとき大気に放出された放射性物質が北風に乗って直接届いたと思われます。
次のピークは3月22日から23日にかけてです。
このときは太平洋側に前線が発達しており、雨が降ったりやんだりの天気で、時折北からの風も吹いていました。15日ごろよりピークが鈍っているのは、風で直接来る場合と上空から雨によって落ちてくる場合との違いかもしれません。

次に、放射線量の減衰について。
17日から21日にかけてと24日から28日にかけての2期間は放射線量が単調に減少しています。
これらのカーブを、y=y0+A*exp(-t*x)という減衰関数でフィティングしてみました。
図に書き込まれた'half life'という数字はln2/tから半減期を求めたもので、'offset'という数字はy0の値、すなわち上記関数で減衰して将来落ち着く先です。もちろん、今見えている減衰より1桁以上減衰が遅い成分があれば、それはこのoffsetに近似されます。

17日からの減衰は、みかけの半減期が31.3時間と短いのが特徴です。今話題の核種のうち、Cs137の半減期である263,000時間はおろか、I131の半減期である193時間より明らかに短いです。福島第1原発から放出された「新鮮な汚染大気」が乾いた空気と強い北風によって千葉まで届いたために、I131より半減期の短い別の核種が含まれていた可能性も考えられます。あるいは、乾いた地面や建物に放射性の塵がとどまらずに、風と共にどこかへ拡散していったためかもしれません。offsetが13〜14日あたりの値より高いところになっているのがCs137など長寿命の核種がとどまっているからだとすると、前者の説も十分可能性が高いと思っています。

24日からの減衰はより明確に指数関数的で、みかけの半減期は112時間です。これは、専らI131からの放射線の影響ではないでしょうか。offsetのほうがCs137によるとすると、両者からの放射線量率が減衰が始まった段階でおよそ半々(より正確には、元々のバックグラウンドを差し引いて2:1くらい)です。
ところが、文部科学省発表の降下物(雨・ちり)放射能値では、この時期の市原では圧倒的にI131>>Cs137です。Cs137以外の寿命の長い核種で、分析から漏れているものがないのかが心配です。

なお、当分、千葉における環境放射線量率が0.1μSv/h前後で増減を繰り返すと仮定するなら、「1年間ずっと屋外で過ごした場合」(あまり現実的ではありませんが)の被曝線量は365日×24時間×0.1μSv/h=876μSv=0.876mSvとなります。
一方、放射線業務従事者に対して法令で決められている年間の被曝線量上限は、
 一番規制の厳しい妊娠中の女子が2mSv(妊娠期間中の腹部表面)
 男性の放射線業務従事者が50mSv
です(実際の規則はもっとややこしいので、必要なら調べて下さい)。もちろん、今はやりの表現で言うなら、これを超えても「直ちに健康に影響が出るわけではない」です。
これから順調に環境放射線量率が減ってゆくなら良いのですが、220km離れた千葉ですらこの状態で、しかもこれから食品や水からの内部被曝の可能性も考えなければなりません。政府は出来る限りの対策を早く行うべきだと思います。

MN

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